夜、寝ている少女の隣で、瞬きをする人形。

不気味に見えますが、決して少女に危害を加えようとしているのではありません。

なぜならこの人形が見ているのは少女ではなく、この映像を撮影している人間なのですから。


……この人形は、この撮影者から少女を守っているのです。

子供に壊され、捨てられた人形たち。

どの人形も体の一部、二部がなくなっており、周囲に散らばるほかの人形のパーツを、自分の身体に繋げています。


どうしてわざわざ自分の身体を造りなおそうとしているのか。

もちろん、元の持ち主に、会いに行くためです。

深夜1時になろうとする遅い時間に、食事を取る男性。

隣にはサンタクロースの格好をした人形。


男性が食事に夢中になっていると、背後から物音が。

しかし、底には薬の容器とサンタクロースの人形だけ。

男性が不思議がって見ていると、突然人形の手が動いた！！


どうやらサンタクロースは、机の上の薬を勧めたようです。……この薬が、一体ナニカはわかりませんが。

成長して大きくなった女の子と、小さな時からずっと一緒だった大きな人形。

「こんなに大きくなりました」

「でも、2人の友情は変わりません」

そんな成長記録を撮影していると、人形の顔がゆっくりと女の子の顔を覗き込んできました。

それに気付いた女の子は、パニックになって人形を放り投げてしまいました。


でも、大丈夫。

だってさっき、約束しましたから。

いつまでも、一緒だと。

赤ちゃんをあやそうとする仔鹿の人形。

しかし赤ちゃんは怪訝な顔で笑ってくれません。

そこで、なんとしても笑わせようと、首を切断して見せました。

「ホラ、面白イデショ？笑ッテ」

2体の人形で遊ぶ少女。

右手の人形にセリフを当てて遊んでいると、セリフを当てられない左手の人形が、

「ワタシノセリフハ？」

と少女の顔を覗き込んできました。

それに驚いた少女は人形を投げ捨ててしまいました。


人形は、自分は嫌われていると、確信してしまったでしょう。

宙に浮いているのに、階段の段差に合わせて律儀に高度を下げる少女の人形。


ピタリと人形の背後に男性が着いてきていますが、人形が宙に浮いていることに一切関係ありません。

たまたま後ろにいた通りすがりの人です。